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夏の“オイルフリー”のスキンケアっていいの?

美容

2021.06.07

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じめじめ、しとしと。梅雨の時期がやってきました。夏はすぐそこです。

夏はベトベトするのが嫌だから、スキンケアは化粧水だけ!」、「夏は皮脂が多くなるから、オイルフリーのスキンケアにしよう」、そう思う気持ちはわかりますが、実はこの二つ、NGケアです

今回は、夏のスキンケアにありがちな“オイルフリー”をしない方がいい理由と、おすすめスキンケアアイテムを紹介したいと思います!

夏の正しいスキンケアは秋・冬を乗り越えるためにとても大切なので、是非最後までご覧くださいね。

1.「夏は皮脂分泌量が増える」は間違い!

気温が高くなると、肌感覚としてベタベタして皮脂が増えたように感じるかもしれません。ところが、季節による皮脂分泌量の変動は個人差が大きく、夏に顕著に増える傾向はありません※1。

気温の上昇によって分泌量が増えるのは体温を下げる“汗”。夏の嫌なベタベタの原因は、“油”ではなく“水”だったのです。

2.オイルフリースキンケアのデメリット

スキンケアで「オイル」を使わないと、どのようなことが起こってしまうのでしょうか。

オイルを使用しないスキンケアのデメリットは大きく二つあります。

①エモリエント効果が得られなくなってしまうこと。

エモリエントとは「皮膚からの水分蒸散を抑えてうるおいを保ち、皮膚を柔らかくすること※2」大切な保湿機能の一つです。詳しくは下記『「保湿」にある二つの意味“モイスチャー”と“エモリエント”とは?』をご覧ください。

乳液やクリームを塗布すると、やがて水分が蒸発し油膜ができることでバリア機能を発揮。肌の水分をキープしてくれます。また、革製の財布やかばんをクリームでなめすと柔らかくなるように、ヒトの肌も油分によって柔軟性を保つことができるのです。

<参考コラム>
◆「保湿」の2つの意味、“モイスチャー”と“エモリエント”とは?

②美容成分を効率よく肌へ届けにくくなってしまうこと。

肌は水よりも油と馴染みやすい性質があるため、美容成分は水溶性成分よりも油溶性成分の方が肌に浸透しやすい傾向があります。

水溶性の美容成分は、乳液やクリームに配合することで肌に馴染みやすくなることも。

オイルフリーのスキンケアでは水溶性成分しか肌に塗布しないため、効果実感がイマイチになってしまうかもしれません。

3.皮脂分泌が多い肌質やニキビができやすい時もオイルは必要?年齢によって皮脂分泌量が衰えづらい男性や脂性肌の女性もオイルは必要なのでしょうか。

皮脂は「天然の保湿クリーム」とも言われており、乾燥から肌を守ってくれています。そのためオイルフリーのスキンケアでも問題ないように思えますが、洗顔後は皮脂が除去され、回復するまでに2時間程度かかると言われています。

その間バリア機能が低下した肌は乾燥しやすい状態のため、一時的に油分を補ってあげる必要があるのです。

ニキビができやすい方はついオイルを避けがちですニキビの要因の一つ“バリア機能の低下”を避けるためにも、オイルの種類を選んで補いましょう。

アクネ菌の餌になる油脂類や、閉塞性が高く毛穴を防ぐ懸念のあるワセリンを避け、スクワランやミネラルオイルなどの炭化水素や、ホホバ油などのロウ類などがおすすめです。

全成分表を見てチェックしてみましょう。

<参考コラム>

◆一歩間違えると逆効果!インナードライ肌の原因と対策とは?
※皮脂過剰によってインナードライ肌の原因を作ってしまうことも

4.「オイルフリー」はオイルフリーじゃないかもしれない!?

オイルフリーの化粧品にも、乳液状のアイテムが存在します。乳液はオイルが配合されているからこそ白く乳化されているはず。一体何故でしょうか?

実は、オイルフリー化粧品には「シリコーンオイル」が使用されていることがあります。シリコーンオイルは水にも油にも馴染みにくい性質があるため、いわゆるオイルとは違う物質。

ですが、シリコーンオイルにも肌の水分をキープする効果があり、さらさらとしたテクスチャーで気持ちよく使えるため、オイルの膜感が苦手な方にはおすすめの成分です。

5.夏のおすすめスキンケア!

気温が上昇しても皮脂分泌量は増えないこと。また洗顔後はバリア機能が低下することから、夏場でも油分を補うスキンケアは重要です。

一方で、日本の夏は冬と比較して湿度が圧倒的に高いため、冬場のスキンケアより油分の量を抑えてもOK。おすすめアイテムは「乳液」です。

特に、乳液先行の拭き取りタイプはエタノール配合で浸透性が高く、膜感も抑えられるものが多くあります。やはりオイルの感触が気になるという方は、セラミド配合の化粧水でも良いでしょう。

オイルによる柔軟効果は得られませんが、肌の水分保持能力は非常に高い成分。セラミドは原料自体が高価なため、中価格帯程度以上のアイテムがおすすめです。

まとめ

①ヒトの肌は、油分によって柔軟性を保つことができます。

②美容成分は、水溶性成分より油溶性成分の方が肌に浸透しやすい傾向があります。

③洗顔後は皮脂が除去され、回復するまで2時間程度。そのため、乾燥しないために一時的に油分を補ってあげる必要があります。

そのため、油溶性成分が配合されている「乳液」や「セラミド配合の化粧水」の商品を使用しながら、夏場でも自然体の美しさを保てるように一緒に作っていきましょう。

スキンケアで最も大切なことは、気持ちよくお手入れをすることです。夏のスキンケアこそ、自分の好きなテクスチャーのアイテム探しをしてみてくださいね。

※1 「皮脂組成の季節変動と肌状態・肌質の関係」日本化粧品技術者会誌 34(4), 365-373, 2000
※2 日本化粧品工業連合会による定義

Written by 理系美容家かおり

 

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