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抗酸化作用の化粧品はなぜ無いの?酸化から肌を守る賢い選択

美容

2021.11.18

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「肌のサビ」「抗酸化」といった言葉を聞いたことはありませんか?TVの健康番組や美容メディアでも度々取り上げられる「酸化」。それに抗うのが「抗酸化」です。

今日は、肌を守るために重要な「抗酸化」について、化粧品業界の裏事情(?)を踏まえながら解説したいと思います!

酸化と抗酸化

ところで、「酸化」とは何か知っていますか?酸化とは酸素と結びつくことで、物質を変質させてしまうことです。

身体の構成物質であるタンパク質や脂質などの物質は、酸化してしまうと機能が低下したりエラーを起こしたりするため、身体に様々な悪影響を及ぼす懸念があります。まさに「酸化は老化の大敵」なのです。

対して「抗酸化」は文字通り「酸化に抗うこと」。抗酸化物質は、自ら酸化されることで他の成分を酸化から守るという自己犠牲のメカニズムを持つ健気な物質です。

肌にも「抗酸化」は必要なの?

もちろん、酸化は肌にも悪影響を及ぼします。例えば、紫外線やストレスによって発生する「活性酸素」は強い酸化力を持っており、周囲の細胞を攻撃して酸化させてしまう性質があります。

さらに、活性酸素を感知すると肌は炎症を引き起こし、様々な防御反応のスイッチを押してしまいます。例えば、メラノサイトにメラニン生成指令を出してシミの原因となったり、角質を厚くするために細胞分裂を急がせることで未熟な細胞が生成され、敏感肌の要因になったりします。肌の弾力に大切なコラーゲンも、炎症によって分解が進んでしまうことが知られています。

その他にも、酸化は様々な肌トラブルの原因となってしまうため、「抗酸化」は肌を守るために重要なアプローチなのです。

化粧品では抗酸化ができない!?なぜ「抗酸化コスメ」はないの?

「酸化は肌に良くないのだから、抗酸化成分でお肌を守りたい!」そう思ってドラッグストアに行くと、どの棚を探しても「抗酸化化粧品」が存在しないことに気づきます。化粧品の外箱をよく見ても、抗酸化の「抗」の字も見つけることができないでしょう。一体なぜでしょうか?

実は、化粧品による「抗酸化効果」は、国に認められていないのです。少し難しい話になりますが、化粧品は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略して『薬機法』)」によって、認められている効果が56項目あります。逆に言えば、化粧品においてその56項目以外の効果は認められていないのです。

日本化粧品工業連合会 「化粧品等の適正広告ガイドライン 2020年版」より引用

 

いかなる化粧品も、効果を謳う時にはこの56項目中の言葉か、その言い換えしか許されていません。「肌を酸化から守る」といった効能は化粧品に認められていないため、抗酸化効果を堂々とPRすることができないのです。

抗酸化成分の気持ちになってみよう!

「化粧品で肌を酸化から守ることが出来ない」というのは、実際のところ法律上の話です。例えば、抗酸化成分で代表的な「トコフェロール(ビタミンE)」は、非常に多くの化粧品に配合されています。肌に対する効果は認められていませんが、「製品の抗酸化剤」としては認められているため、たまに「ビタミンE配合(製品の抗酸化剤)」といった文言が見られます。

では、自分が抗酸化成分になったつもりになって化粧品の中にいることを想像してみましょう。肌の上に塗られた途端、紫外線が燦々と差してきて、活性酸素が発生しました!みなさんならどうされますか?

抗酸化物質の効果メカニズムは、上述の通り自らが酸化されることによって対象を守る自己犠牲反応です。製品の抗酸化剤として配合されたあなたは、きっと身を挺して何かを酸化から守ります。つまり、守る対象が何であろうと同じメカニズムで抗酸化効果を発揮するのです。

法律上は抗酸化効果を謳えない化粧品も、肌を酸化から守る働きがあるということがおわかり頂けたでしょうか。

抗酸化成分配合の化粧品の選び方

パッケージや広告では謳えない「抗酸化効果」を持つ化粧品を見つけるためには、化粧品の「全成分表示」から、目的の成分が配合されているかを見つけるのが最も有効な手段です。

化粧品は、配合されている全ての成分を外箱か本体に記載しなければいけないことが法律で義務付けられています。(厳密には全てではありませんが、ここでは割愛します)その中から、抗酸化作用のある物質を見つけることができれば言い訳です。

 

抗酸化効果のある代表的な成分は以下の通りです。

【抗酸化作用のある代表的な成分】

・ビタミンE誘導体(酢酸トコフェロール等)

・ビタミンC誘導体(3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸 等)

・アスタキサンチン

・フラーレン

・γ-オリザノール

・フィチン酸

・トコフェルリン酸Na

・その他、複数種の植物エキス

 

これらの成分以外にも、肌自身が作り出している酵素SODも抗酸化効果を発揮します。肌を紫外線や乾燥からしっかり守り整えることで、自ら抗酸化機能を発揮する肌状態にしておくことも重要です。

まとめ

今日は、肌の綺麗を保つための「抗酸化」についてお伝えさせて頂きました。

化粧品のルールがわかると、化粧品選びに役立つシーンが沢山あります!これからも、お役に立ちそうな化粧品の豆知識を配信して参りますので、楽しみにお待ち下さい。

Written by 理系美容家かおり

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