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犬や猫が舐めても大丈夫?化粧品の成分で気をつけたいこと

美容

2022.04.13

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家族の一員とも言える犬や猫などのペット。近年、日本では核家族化の進行や単独世帯の増加、女性の就業割合の増加などの影響から、犬・猫の飼育件数は穏やかな減少傾向でした。

ところが、新型コロナウィルス禍の外出自粛から、コミュニケーションや癒やしを求めてペットを迎える家庭が増加しています。ペット関連のサービスや商品も多様化してきました。

先日行われた2022年インターペット展では、延べ4日間で来場者数43,755人、ペット18,513と盛況でした。
※2019年:44,114人、ペット17,986 / 2021年:28,498人、ペット13,736人

化粧品でも「ペットが舐めても安心大丈夫」という訴求の飼育者向けブランドや、犬・猫のための化粧水も販売されており、化粧品を付けた手や顔を舐めてしまうペットの健康を気遣う方も多いのではないでしょうか。

今回は、犬や猫がいる家庭で気をつけたい化粧品成分や、取り扱い方についてお伝えさせて頂きます。

 

基本的には安全な化粧品成分

ペットに限らず、人間が使う化粧品であっても「安心・安全」のイメージには「天然」、「自然由来」、「無添加」のワードが魅力的に感じられます。

実際のところ、化粧品原料に使われている成分は安全性の高いものが選ばれているため、その由来に関係なく多少舐めたくらいでは中毒症状が起こる危険性はありません。

ところが、一口にペットと言っても体格は非常に様々なので、舐める量やペットの体調によっては影響の度合いも変わってきます。基本的にはできるだけ顔や手を舐めさせないようにしつけをすることが重要です。

 

気をつけた方がいい成分も!

基本的には安全な化粧品ですが、避けた方が無難な成分があることも事実です。代表的な成分をいくつか挙げてみます。

〇精油やアロマ系アイテム

「犬や猫にもリラックスさせてあげたい」という飼い主さんの想いからペット用のアロマ商品も販売されていますが、犬猫にとって精油は有害にならないのでしょうか?

日本獣医学会 Q&Aによると、結論的には現時点ではすべての精油に毒性があるとは言えないようです。精油を含む天然由来の香料には200種類以上の成分が含まれているため、その安全性を明確に判断することはできません。

犬・猫は代謝機能が人間と異なることから、アロマ系アイテムに含まれる溶剤が代謝されにくい傾向があります。特に、犬と比べて猫はアルコールが代謝されにくいことがわかっているそうです。

さらに、犬や猫の嗅覚は人の何倍も敏感であるため、人間にとって心地良い匂いがペットにとっても心地良いとは限りません。犬猫に安全性が確認されているものかどうか、しっかり確認することをおすすめします。

◯犬のキシリトール中毒

化粧品には糖アルコールの一つ「キシリトール」という保湿成分がよく使われます。キシリトールガムがあるように、人間は経口摂取しても毒性がありません。

ところが埼玉県獣医師会によると、犬はキシリトールによって血糖値を抑えるホルモンインスリンが強く応答してしまうため、低血糖を引き起こし、意識の低下、脱力、昏睡、けいれん、さらには肝障害をおこす可能性があるそうです。

猫への影響はわかっていません。

ただし、中毒症状を起こす量は試験によってバラつきがある上に、化粧品に配合されるキシリトールは微であるため、キシリトール配合の化粧品を舐めたからといって必ず中毒症状が起こる訳ではありません。

 

◯猫のプロピレングリコール(PG)

プロピレングリコールは化粧品のみならず、犬用のペットフードにも含まれる保湿剤ですが、猫は赤血球を減少させるなどの副作用の恐れがあるため、猫用ペットフードの配合禁止成分になっています。

海外のスキンケア化粧品や、日本でも洗顔料などによく含まれる成分であるため、配合量が多くないか確認するとよいでしょう。全成分表示の5番目以内に含まれているものは配合量が比較的多いため、避けるのが無難です。

 

◯ネイル除光液や白髪染めなどの染毛剤

ネイル除光液にはアセトンや酢酸エチルなどの溶剤が多く含まれています。匂いからもわかるように人間であっても身体にいいとは言い難い成分ですが、多少吸引した程度では中毒症状は起こりません。

嗅覚の鋭い犬猫には匂いの刺激が強い上に、大量に吸引すると悪影響が懸念されるため除光液を使用する際はよく換気するようにしましょう。

また染毛剤には過ホウ酸ナトリウムという成分が含まれています。大量に食べてしまった場合には有害な毒性を引き起こす可能性がありますが、化粧品によって毒性がある量を接種することはまずありません。

 

危険なものは化粧品だけじゃない。保管方法に注意!

化粧品に限らず、絶対的に安全な成分は存在しません。化粧品を大量に舐めたり食べたりしてしまった場合には、口の中を拭く・ゆすぐなどをした後に水を飲ませ、様子を見ましょう。

万が一具合が悪くなってしまった場合には、化粧品を持参して獣医師の診察を受けるようにしてください。

また、いたずらできない場所への化粧品の保管や興味のあるものを口に入れてしまう拾い食いの癖をなくすなど、好奇心旺盛なペットを守る工夫が大切です。

 

【参考】
・経済産業省「ペット産業の動向 -コロナ禍でも堅調なペット関連産業-(2022)」

・一般社団法人 ペットフード協会「2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査 結果」https://petfood.or.jp/topics/img/211223.pdf

・環境省「ペットフード安全法基準規格等 [動物の愛護と適切な管理] 」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/petfood/standard.html

・公益社団法人日本獣医学会「Q&A 動物の病気や健康」
https://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/v20180925.html

・公益社団法人 埼玉県獣医師会「犬のキシリトール中毒に注意!!」
https://www.saitama-vma.org/topics/犬のキシリトール中毒に注意/

・ワタシプラス(資生堂)「お客様サポート ペットが化粧品をなめてしまいました。大丈夫ですか?」
https://faq.wp.shiseido.co.jp/faq/show/73?category_id=15&site_domain=support

Written by 理系美容家かおり

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