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心に合ったコスメ選び。SDGsで自分らしさの実現を!

美容

2022.11.17

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SDGs

5年ほど前から、Google検索件数が右肩上がりのキワードをご存知ですか?
そう、『SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)』です。

【Google Trends:検索ワード「SDGs」】

 

SDGs

外務省の公式HPによると、SDGsとは下記のように説明されています。

“持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは,(中略)2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された(中略)2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。(後略)”

よりよい世界、というときれい事のようにも聞こえますが、地球のためだけではなく、企業が生き残るためにも重要になってきています。昨今は『ESG投資』という言葉も生まれており、「企業が長期的に成長するには「環境(E)」、「社会(S)」、「ガンバナンス(G)」が必要である」という考え方から、SDGsへの取り組みは投資家が投資先を決める際の重要項目なっているのです。

企業はESGの3つの観点で事業を行っている

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環境(E)

二酸化炭素(CO2)排出量の削減、廃水による水質汚染の改善、海洋中のマイクロプラスチックといった環境問題対策。再生可能エネルギーの使用や生物多様性の確保など

社会(S)

適正な労働条件や男女平等など職場での人権対策。ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランス、児童労働問題、地域社会への貢献など

ガバナンス(G)

業績悪化に直結するような不祥事の回避、リスク管理のための情報開示や法令順守。資本効率に対する意識の高さなど

[日本の人事部HPより引用< https://jinjibu.jp/keyword/detl/846/ >]

また、世界的には「Z世代」と言われる消費ボリュームゾーンの若者層は、購買の理由が「SDGsへの取り組み」になることも多いのだそう。

経営資金を得るためにも、商品を手にとってもらうためにも、『SDGs』は決して見過ごせないワードになっているのです。

それでは、私達の生活においてはSDGsはどのように関わってくるのでしょうか?

購入前に体験できるサンプルサイズが増加!

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最近のドラッグストアはヘアケアアイテムが充実!ひと昔前は500円以下のシャンプーが当たり前でしたが、最近は1500円程度で品質の良いアイテムが増えています。また、同時に増えてきたのは100円程度で1回分を購入できるサンプルサイズ。少し高めのお買い物をする分、商品選びも慎重になっているのかもしれません。

シャンプーでは一般的になったサンプルサイズですが、昨今はスキンケアやメイク、香水までもサンプルサイズが増えてきています。例えば外資系コスメブランドのランコムは、公式HPで人気のブースター美容液を送料込み500円以下で販売。@cosme口コミランキングでは3位にまでなりました。

この背景には、経済的な損失を考えた「失敗したくない」という気持ちの他に「捨ててしまうのはもったいない」という、にわかに根付き始めている環境意識があるのではないでしょうか。フリマサイト「メルカリ」で使いかけの化粧品が頻繁に売り買いされていたり、資生堂やM・A・C、TOM FORD BEAUTYからも可愛らしいミニリップが販売されていたりするのも背景の裏付けと言えそうです。

ターゲット層に「男性」、「女性」の区分けはもう古い!

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最近、ジェンダーレスコスメ」「ジェンダーニュートラルコスメ」などと呼ばれる生物学的・自己認識的性差に関係なく美容を楽しむことを謳った化粧品ブランドが増えています。

具体的には、ターゲット層に男性・女性を設定していないことはもちろん、嗜好性の広いシンプルなデザインや豊富な色展開などがあります。

スキンケアを共有する「シェアコスメ」を楽しむカップルが増えている他、若い世代ではメイク用品までもシェアすることもあるそうです。デートでは二人でコスメを買いに行くのも楽しそうです。

大手を中心にブランドの理念から「女性」という言葉を撤廃する動きも出ており、筆者も「女性」だけをターゲットにしたマーケティング戦略には違和感を感じるようになってきました。 誰でも「綺麗」を楽しめる世の中になるといいですね!

“きれい”は自分だけじゃない。原料選びは慎重に。

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世間的にはまだまだ浸透していませんが、ファッションや美容業界でじわじわ聞くようになってきたキーワードは「エシカル」

直訳すると「倫理的な」という言葉です。具体的には原料となる農園で児童労働がされていないか、労働環境が過酷ではないか、環境を破壊するものではないかなど、資本主義のしわ寄せとなりがちな立場の弱い労働者や環境対して、原料の調達段階まで追跡して選定する動きを言います。

例えば、化粧品で非常によく使用されるパーム油やパーム由来の脂肪酸はアブラヤシから生産される原料ですが、東南アジアの熱帯雨林破壊をもたらす主因となっている他、開発に伴う人権侵害や劣悪な労働環境などが問題となっていました。そこで、資生堂は2004年に『RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)』に加盟し、持続可能なパーム油生産を基本方針とした管理基準を採択しています。

このように、目に見える部分の美しさのみならず、裏側で労働する人々にまで幸せを運べるような「エシカルコスメ」は今後のトレンドとなっていきそうです。

エコ×使いやすい×お洒落は両立できる!

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環境問題といえば、忘れてはいけないのが容器です。使い切っても使い切れなくてもゴミになってしまうパッケージですが、昨今の化粧品業界では「リデュース」「リユース」「リサイクル」に「リニューアル」が加わった『4R』に配慮した容器設計が求められています。

リニューアルとは全材料にリサイクルペットや再生紙などの再生材の使用を止めたり、バイオプラスチックの利用を推進したりするもの。容器のコストが高くなってしまうので、大手企業を中心とした取り組みとなっています。

花王が開発した詰替えの手間が不要になる「スマートホルダー」やスイッチを押すだけで中身が出てくる吊り下げ型の容器は大変話題になりました。詰替製品に環境負荷の低い素材を採用することで、プラスチック使用の削減に繋がったそう。

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簡単に詰め替え可能なスマートホルダー®

場所も取らず、水滴もたまらず衛生的に使える吊り下げ式容器

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[花王リリースより引用]

その他、ドラッグストアのヘアカラーコーナーに置いてある髪色見本の提供を終了することで年間約56トン使用していたプラスチックが削減するなど、エコへの取り組みはますます加速を見せています。

エコ容器というとお洒落や使い勝手を犠牲にするイメージでしたが、最近は見た目もスタイリッシュでユニークな使い方のものも多く、使いやすさを考えられたものばかりです。

誰一人取り残さない社会へ

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SDGsが目指すのは「誰もが生きやすい社会」。コスメというのは、人の容姿を美しくし、心に潤いを与え、活力を取り戻してくれる素晴らしい力を持っています。

そんな「化粧品のちから」に注目したのが資生堂。日本人の2人に1人が、がんになる時代と言われる中、がん治療の副作用による特有の美容上の悩みや外見上の変化(肌色の変化、眉・まつ毛の脱毛など)が気になる患者さん達に向けて、スキンケアとメイクのお手入れガイダンス『外見ケアBOOK』を制作したのだそう。

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この取組は2015年に行われたのいうのだから驚きです。SDGs採択の年ということは、資生堂は外見ケアが社会福祉になることをいち早く見出していたのですね。

SDGsで実現を目指す“生きやすさ”の恩恵を受ける対象は、自分のことも忘れてはいけません。これからのコスメは、肌にあったものだけでなく、心に合ったものを選ぶ時代。使って嬉しくなるもの、社会に貢献して誇らしくなるものを選ぶのも視点の一つです。

あなたにとって心地の良いコスメはどんなコスメですか?これからのコスメ選びがますます楽しくなりそうです。

Written by 理系美容家かおり

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