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ニキビができた!もしかして食べ物のせい…?
美容
2023.05.01
大人になっても出現しては消えていくニキビ。「青春のシンボル」はもう死語で、ニキビは「尋常性ざ瘡」という立派な皮膚疾患のひとつとして認知されています。そんなニキビにまつわる噂はたくさんありますが、今日は食べ物とニキビについて考えてみましょう。
ニキビと食べ物は関係性がない
よく「チョコレートをたくさん食べるとニキビができる」と言いますが、その事実についての科学的根拠はありません。そもそも、ニキビは何らかの要因で毛穴が塞がれることで、嫌気性菌(空気が少ない環境で活発になる菌)であるアクネ菌が活性化し、炎症を引き起こすことで発症します。
チョコレートのような脂質の多いものを多く摂取すると皮脂が増える、と考えられていますが、皮脂は意外と作るのに日数がかかるため、食べてすぐに皮脂分泌されることは考えられません。
腸内環境の悪化が肌荒れを引き起こす?
食事が腸内環境に影響することは経験的にもよく知られていますよね。最近の研究では、腸内環境が皮膚へ影響することがわかってきています。「便秘をすると肌が荒れる」は科学的に証明されているんですね。
つまり、「◯◯を食べたら、ニキビができる」という直接的な条件はわかっていないものの、食事は間接的に皮膚状態へ影響するのです。
腸内細菌が産生する「フェノール類」は、血中に乗って全身を巡り、皮膚に蓄積して皮膚の生まれ変わりに悪影響を与えてしまいます。㈱ヤクルトの研究によると、ガラクトオリゴ糖を含むビフィズス菌発酵飲料を飲用すると、フェノール類の一種である「パラクレゾール」の量が減少し、皮膚の角層の状態や乾燥が改善されたのだそうです。(1)
これは、いわゆる「プレバイオティクス」(善玉菌のエサとなる糖質や乳製品や、食物繊維のこと)によって腸内環境が改善されると、皮膚状態が良くなることを示しています。
ニキビと一見関係なさそうに見えますが、特に「大人ニキビ」は肌のバリア状態が低下することで引き起こされることが多いため、角層状態を健やかに保つことは、ニキビ予防に非常に効果的なのです。
肌は食べ物から作られる!
人間の身体は、約37兆個の細胞で作られていると言われています。全身の細胞は新陳代謝によって入れ替わっており、腸は数日、表皮細胞は約1ヶ月、血液は約4ヶ月、骨は5ヶ月と実に様々なサイクルで変化し続けています。
そんな新陳代謝の際に最も必要とされるものは、身体の細胞や組織を構成する材料。つまり食べ物です。もちろん肌も同様で、栄養バランスの悪い食事からは、健やかな肌を作り出すことは出来ません。
偏った食事では肌状態が不安定になり肌荒れしやすくなるだけでなく、腸内環境の悪化によってより炎症を引き起こしやすい肌になってしまいます。
だから肌の主成分となるタンパク質や、細胞に欠かせない脂質、エネルギー源となる糖質、そして身体の機能を維持するために重要なビタミン・ミネラル類などをバランスよく摂取することが重要です。
最後に
ニキビと食べ物には直接的な関係は確認されていませんが、食べ物が身体に与える影響は、皮膚の健やかさに間接的に影響します。
美肌づくりに近道はありません!美容習慣を毎日コツコツ続けることが重要です。最近はサプリメントや完全栄養食など、健康食品も充実していますので、ご自身が続けられる食習慣を見つけてみてくださいね。
Written by 理系美容家かおり
(1)飯塚「腸内細菌が皮膚生理に及ぼす影響」腸内細菌学雑誌, 25巻2号, 2011.