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「保湿」の2つの意味、“モイスチャー”と“エモリエント”とは?

美容

2020.10.09

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スキンケアについて調べていると、よく「保湿が大事」という言葉を目にしませんか?

保湿が何故大事なのか、保湿をした肌はどのようにきれいになるのか、化粧品のパンフレットを見れば図式とともにきれいに説明されています。ところで、「保湿」と一言で言っても、その意味には2つあり、アイテムによって役割が異なることをご存知でしょうか。

今日は、「保湿」は具体的に肌にどんな効果があるのかをお伝えしたいと思います。
メカニズムを知って、保湿美人になりましょう!インナードライ対策としても大切ですよ!

1.保湿の意味①『モイスチャー効果』

保湿の働きの一つに、『モイスチャー効果』があります。これは水溶性成分による働きのため、化粧水や乳液・クリームなどの水が多く含まれている化粧品に効果が期待できます。具体的には、水分をキャッチするはたらき。

例えば、モイスチャー成分である砂糖に水をかけるといつまでもネバネバするイメージはありませんか?一方で、塩に水をかけても蒸発すればやがてサラサラの塩に戻ってしまいます。この違いは砂糖には水をキャッチする性質があるために、水は蒸発しきらずに一定量砂糖に捕まえられているからなのです。

このような現象を肌の上で起こし、肌に水をキープするはたらきが「モイスチャー」です。

実際には、砂糖の主成分であるスクロースはベタベタして使用感が悪く、化粧品にはあまり使われませんが、砂糖の仲間であるマルチトールはフリミースキンケアクレンジングにも配合されています。

以下のような成分がモイスチャー成分の代表例です。お手持ちの化粧品の全成分表示と見比べてみてくださいね。

・アミノ酸(セリン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、リシン、アルギニン、トレオニン、プロリン等)

・糖類(マルチトール、キシリトール, トレハロースやラフィノース等)

・多価アルコール(グリセリン、BG、DPG等)

・ヒアルロン酸(ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸、アセチル化ヒアルロン酸Na等)

・コラーゲン(水溶性コラーゲン、加水分解コラーゲン、アテロコラーゲン等)

etc.

2.保湿の意味②『エモリエント効果』

保湿の意味、二つ目は『エモリエント効果』です。これは乳液・クリーム、オイルに期待できる働きです。気づいた方もいるかもしれませんが、エモリエント効果は主に油分による働き。肌表面に油の膜を張ることで肌の水分蒸散を防いでくれる働きをします

また肌に馴染んで角層を柔らかくしてくれる効果も。干し椎茸を水に浮かべてもプカプカ浮いてしまいますが、やがて水と馴染んで柔らかくなるとふっくらとして沈んできますよね。同じように、肌も柔らかくふっくらしていた方が、化粧品の馴染みもよくなります。

エモリエント効果のある成分の代表例は、下記のとおりです。

・炭化水素(ミネラルオイル、ワセリン、スクワラン等)

・油脂類(オリーブオイル、アルガンオイル、シア脂、馬脂等)

・エステル油(ホホバ油、トリエチルヘキサノイン等)

・セラミド類(人型セラミド、疑似セラミド、セラミド類似体等)

etc.

この中で、セラミドは少し特殊な油。細胞間脂質という、肌の最表層である角質細胞の間に存在する油分の約50%を占める成分で、肌は表面に膜をはるのではなく、角質細胞の間に入り込むことによって、肌のバリア機能を高めたり、肌のセラミド産生を助けたりする成分です。

セラミドは肌の水分を守るために最も重要な成分と考えられているんですよ。

<参考コラム>
一歩間違えると逆効果!インナードライ肌の原因と対策とは?

3.化粧水は必要なの?乳液は?

保湿には2つの意味があることをご理解頂けたでしょうか。ところで、こんな疑問が湧いてきませんか?「乳液やクリームはエモリエントとモイスチャーを兼ねるなら、化粧水を使う必要はないのでは?」

確かに、化粧水は日本では当たり前のように販売されていますが、欧米等では日本で言う保湿用の化粧水(ローション)はなく、一部の方が拭き取り用の化粧水(トナー)を使っているそうです。日本は禊(みそぎ)に水を使用したり、毎日の入浴習慣があるなど昔から水と馴染み深い文化があり、化粧水が好まれるようです。

そのため、日本で販売されている乳液やクリームは化粧水を使用した後に最も心地よく使えるように設計されていたり、水に溶かしやすい成分を配合して機能性を出したりなど、日本独自の化粧品研究として発展しているものとも言えるかもしれません。

また、生理周期などで皮脂分泌量が変動する女性にとって、油分と水分の量を調整できるスキンケアは非常に理にかなったケアとも言えます。もちろん、オールインワンでも水分・油分バランスが肌に合っていれば問題ありません。

自分が毎日心地よく使える化粧品に出会うことが、肌にとっては一番重要なのです。

今日は、保湿の考え方についておさらいでしたが、新しい発見はありましたでしょうか。スキンケアをしている時、「今は水溶性成分を与えているな」「油分を補っているな」と実感しながら付けると、スキンケアがより楽しくなり、効果も高まりますよ。是非お試しください。

 

<参考コラム>

◆夏のスキンケアは’’オイルフリー’’にしない方がいい!?

◆抗酸化作用の化粧品はなぜ無いの?酸化から肌を守る賢い選択

◆マスクの肌荒れ、ごわつき・ザラつきどうしたらいいの?

Written by 理系美容家かおり

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