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昔から色は生活に溶け込んでいた!?
カラー
2022.06.13
みなさん、こんにちは。カラーアドバイザーのえりかです。6月になりました!今年ももう中盤戦です。早いと感じる方、まぁこんな感じかなと思う方、みなさんは、どちらでしょうか。
日本全国は広いので、まだまだ肌寒い地域もあれば、夏のような陽気の地域もあり、様々ですね。今年は各地でイベントが再開されることが増え、だいぶ賑わいを取り戻してきているように感じます。
みなさんのお住いの地域はいかがでしょうか。コロナもまだ油断はできませんが、活気も必要ですし、悩ましいところですね。
歌詞や想い出は、色と情景を想起させます
さて、私の最近の変化ですが、ここ2か月くらい、毎日ラジオを聴くようになりました。ラジオ番組も学生向けから懐かしい世代向けと幅広いですし、ジャンルもJ-POPからロックやジャズなど様々な音楽を聴くことができます。
自分で音楽をダウンロードしようと思うと選り好みしてしまい、どうしても偏りがちですが、ラジオって勝手に耳に入ってくるので、いつもの自分では選択しない音楽を聴くことができて楽しいですね。
みなさんは、特定の音楽を聴いて思い浮かべる色ってありますか?「この曲を聴くと思い出す」想い出の色、懐かしい風景など、この曲を聴くとこの色が思い浮かぶ、という色はありますか?
懐かしい音楽を聴きながら、幼い頃はお気に入りの赤いスニーカーでよく遊んでいたな~、とか、想い出に浸るのもオススメですよ。
音楽は耳から人の心に作用してくれるように、色は目から人の心に働きかけてくれます。もちろんどちらか一方だけでも十分に効果がありますが、耳からも目からも心に触れるものがあると、より一層癒しの幅が広がりますよね。
ラジオを聴くようになってテレビ中心の生活をしていた頃よりも「耳」を使うようになりました。言葉という「音」から情景を想像してみたり、普段使わない素敵な言葉に出会えたりもします。
そこで今回は、古くから使われている「色」にまつわる言葉・ことわざ・慣用句を集めてみました。今でも使う言葉もあれば、あまり使う機会がない言葉もあり・・・。あらためて注目してみると、おもしろいですよ。
特定の色の名前が入っている言葉
●紅一点(多くの平凡なものの中に、一つだけ優れて異彩を放つものが存在することの例え)
→紅(赤)は、昔から目立つ色として認識されていたんです。
●色の白いは七難隠す(色が白ければ、顔かたちに多少欠点があっても気にならないということ)
→白は清純・清潔感をイメージさせる色。昔から白は特別な色だったんですね。
●白羽の矢が立つ(多くの人の中から特に選び出されることの例え)
→当初は「犠牲者として選ばれた」という意味だったそうですが、白いものは清らかであるという考えから、徐々に悪い意味が打ち消され、現在の良い意味での「選ばれた」に変わっていったそうです。
●白紙に戻す(もとの何もなかった状態に戻す)
→白には、「リセット」「やり直す」という意味があります。白旗を上げる、という言葉も「戦意がない」、「もうリセット(降参)します」という意味のあらわれなんですね。
●白日の下にさらす(隠された事実や物事を公開する)
→白には、「明白」というように、真実を明らかにする、という意味もあります。また、正義の色でもあるので、「白」という色がまさにぴったりですね。
●青二才(若くて未熟な男性のこと)
→青には「若い、未熟な」という意味があります。今でも野菜・果物が青い状態だと「熟していない、まだ食べれない」と判断しますよね。
ただ、今の時代、「青=男性」と連想させるような言葉としては、あまり使われなくなりそうですね。
●青は藍より出でて藍より青し(弟子が師匠の学識や技術を越えることの例え)
→青の染料は藍という草から採りますが、実際藍よりも青の方がずっと青いことから、教えを受けた人が教えた人よりも優れることの例えとして使われるようになったそうです。
日本では「青色」と一口に言っても、微妙な違いでたくさんの色が生まれています。古来より、日本人は青色に対する思いが強い民族なのですね。
今はあまり使われないことわざですが、人は努力によって大きく能力を開花させることができる、という言葉は素敵だな、と思います。
●隣の芝生は青い(他人の物はなんでも良く見えてうらやましく思うこと)
→現代でも緑に見える信号の色を「青信号」と呼んでいるように、昔から「緑」を「青」と言い換えることがあったんですね。
●どんな雲にも銀に輝く面がある(どんな逆境にもよい側面がある)
→昔の人が「銀=よい側面」と捉えたということは、今も昔も「銀」は特別な色だということ。古来より、人間の価値観ってそう変わらないのですね。
●腹が黒い(意地が悪く、ひそかに悪だくみをしている)
→黒には「怖い」「闇」などのマイナスなイメージがあります。昔の人も同じように感じていたんですね。
「色」そのものを用いた言葉
●十人十色(人の考え方は、それぞれ違っているということ)
→夏目漱石の「吾輩は猫である」の中で使われている言葉です。色=個性ととらえ、十人いれば、十通りの色(個性)がある、ということです。
夏目漱石も、この世には色が数多く存在することを認識していた、ということでしょうか。なんて勝手に想像してみると、ちょっと楽しいですね。
●色眼鏡で見る(先入観や偏見をもって物事を判断する)
→色には、それぞれ意味やイメージがあります。色のついた眼鏡で物事を見てしまうと、その色のイメージに左右されて物事を正しく判断することができない、という意味をあらわしています。
色の学問が発達する以前から、色には意味があるということを知っていたのですね。
●色目を使う(相手の気を引くような態度をとる。気のありそうな素振りを見せる)
→色には相手を惹きつけてやまない魅力があります。昔の人も、同じように「色」というものを人の魅力度をあげるもの、と認識していたのでしょうか。
●色を付ける(物事の扱いで、相手に多少の利益を与えること)
→要するに、おまけする、っていうことです。色を+αの要素として捉えていた、ということでしょうね。
・難色を示す(相手の提案や行動などに対して、賛成できないという意思を表情や態度で示すこと)
●「難色」は、不賛成であるというような顔つき・様子・素ぶりをあらわす言葉。言葉では表現しにくいほど難しい色、ということなのでしょうか。
どなたが考えた言葉なのかはわかりませんが、例えが上手だな、と感心してしまいます。
●気色が悪い(気味が悪く、不快に感じるさま)
→本来色は魅力的なツールであるにもかかわらず、なぜか不快と感じてしまう。はっきりとした理由はないけれど生理的にちょっと・・・を表す言葉としては、言い得て妙ですね。
●とかく浮世は色と酒(なんといってもこの世の楽しみは恋と酒であるということ)
→現代においては、どうにもアウトな考え方ですね・・・。ここはノーコメントで。
●思い内にあれば色外に現る(心の中で思っていることは、自然と言動や態度にあらわれるということ)
→色=気持ちと捉えた表現。怒ると顔が赤くなったり、時には青ざめたり・・・。昔の人は、変化をよく見ていますね。
●色即是空、空即是色(この世の形あるすべてのものは仮の存在であり、永遠に存在するものはない)
→色とは、宇宙すべての形ある物質のことを指しています。あらゆる物質に色がついていることからも「色」という単語が使われているのも納得ですね。
●色を失う(心配や恐れなどで顔色がわるくなること)
→健康であれば、血色がよい、という言葉のように、色がある状態を指しますよね。反対に、色がなくなるということは、体・心の状態が不安定である、ということをあらわしているのですね。
最後に
いかがでしたでしょうか?
調べてみると、ここには挙げきれないほど、もっとたくさんの言葉がありました。ずいぶん昔から、人々の生活において「色」が身近にあったという証拠ですね。みなさんも日頃何気なく使っている色にまつわる言葉を探してみてはいかがでしょうか。色だけに、「色々」あると思いますよ。
これから梅雨の時期ですが、言葉遊びで気分爽快に過ごしましょう!
Written by えりか(カラーアドバイザー)