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時代と共に美しさを引き立てる色に変化したブラック!

カラー

2022.12.06

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黒

みなさん、こんにちは。カラーアドバイザーのえりかです。今年も残すところあと1カ月となりました。今年1年を振り返る時期がやってきましたね。みなさんにとっては、どんな1年でしたか?私の2022年は、「涙」の年でした。残念ながら、嬉し涙ではなく、悲し涙の方でしたが…。

年始からいろんなことが起き、また先日は最愛の母を亡くし、大号泣。今年はたくさん泣いた1年でした。でも数年後にはきっと「2022年が人生の転機だった」と思える時がくる。そう信じて、来年も頑張ろうと思っています!

 

さて、今回は「黒」に注目してみようと思います。

黒は最も暗い色

黒

無彩色と言われる色相の無い色です。最も明るい色である白と組み合わせるとコントラストが最も高くなります。白い紙に黒い文字、というのが読みやすいため、書籍や書類の印刷文字に使われています。パソコン上でも黒文字が使われるのは、同様の理由からです。

みなさんは黒と聞くと何を思い浮かべますか?現代ではマスクまで黒が登場するなど、洗練されたファッションカラーとして多く取り上げられている黒ですが、今のような認識ではない時代もありました。

身分を表す黒

黒

かつて聖徳太子によって制定された、身分を表す冠位十二階。学生時代、社会の教科書で学んだと思います。十二階には、位色(いしき)と呼ばれる色があり、身分によって定められた色の冠と同色の衣服を着用する、という制度がありました。

そこで採用された色は、赤、青、黄、白、黒、紫の6色。それぞれ濃い、薄いの2段階があり、6色×2段階=12位色に分かれていました。

黒はその中で、11・12番目に該当しており、最も低い階位の色でした。「暗い」という感覚からか仏事や凶事などに使われることの多かった黒ですが、武士の時代に少しずつ黒に対する意識が変化しはじめ、強さや権力、地位を誇示する意味として、戦いのときに身に着ける鎧の大部分に黒が使われるようになりました。

 

芸術としての黒

黒

みなさんは、水墨画を見る機会はありますか?正直なところ、私自身あまり目にする機会がなく、今までじっくり考えたことがなかったのです。当たり前ですが、水墨画は墨(黒)しか使っておりません。しかしよくよく見ると、「1色なのに1色ではない」ような気がしてきませんか?

濃い、薄い、かすれ、ぼかし、線の強弱などの表現により、見ている人に多くの色を想像させてくれる芸術品です。若いころには感じなかった奥深さを今になって感じるようになりました。

他の色と同じく、黒にもたくさんの色数があります。日本の黒系に分類される色名に、漆黒、檳榔子黒、濡色、墨染、鈍色、藍下黒、紅下黒、藍墨茶、空五倍子色、灰色、鉛色、素鼠…まだまだあります。1つの色において、これほどまでに微妙な違いを生み出すとは、さすが日本人です。あらためて先人の偉大さを感じます。

 

ファッションとしての黒

黒

時代によって黒のとらえ方が大きく変わってきましたが、黒にまつわるファッションの歴史も様々な変遷をたどってきました。世界的にも19世紀末頃までは「喪」を表すための色とされてきた黒ですが、フランスのデザイナーであるココ・シャネルが「黒はすべての色に勝る」とし、リトル・ブラック・ドレスを発表。装飾のないシンプルな黒のドレスは、エレガントという美意識を生み出し、大流行しました。

それまでファッションに用いる色ではなかったため当然ながら揶揄する人たちも多くいたようですが、時代を変える人のパワーにはかなわなかったようですね。これを皮切りに、ファッション業界における黒の意味合いが大きく変わりました。

日本でも1980年代に起こったデザイナーズブランドブームで「カラス族」と呼ばれる斬新な黒づくしのファッションが流行しました。また、ファッションだけにとどまらず、黒そのものが都会的で洗練された色、というイメージに変わっていきました。

昨今では、黒豆、黒ゴマ、黒酢、のり、ひじきなどの黒い食材は体に良い、と言われていることもあり、黒の良いイメージにもつながっているのかもしれませんね。

黒は組み合わせた色を引き立て、美しくみせるという働きをもっています。「額縁効果」といい、黒で囲まれたものは引き締められ、進出しているような見え方をします。女性が目を大きく見せようとアイラインを引くのもこの効果からです。

最近では黒のアイシャドウも流行になっています。凹凸の少ない日本人の顔に、黒が立体感を生みだし、グッと華やかな印象に仕上げてくれます。古くはお歯黒から眉墨にはじまり、女性にとって黒はメイクに欠かせない重要な色ですね。

最後に

黒

黒は、高級感、重厚感、威厳のある、神秘的な、というプラスのイメージと、不安、不吉、闇、絶望的、というマイナスなイメージの両方持ち合わせている稀有な色です。黒字、大黒天、大黒柱という良い意味の言葉もあれば、腹黒い、黒魔術、黒歴史、などのあまり良くない言葉も存在します。

大げさかもしれませんが、「たいていの事は見方によって良くも見えるし悪くも見える」ということの一例であると思います。新しい年を迎える直前の今、私たち自身の考え方・とらえ方を変えていく機会になれば幸いです。

 

カラーアドバイザー えりか

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