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情緒豊かな日本語で感じさせる銀色の世界
カラー
2022.12.28
みなさん、こんにちは。カラーアドバイザーのえりかです。今年も全国的に厳しい冬になりそうですね。もともと雪の降る地域でも想定以上の降雪量になったり、降らない地域でも降るようになったり・・・。
ここのところ、一年中「災害級」というフレーズを耳にしているような気がします。まさに異常気象ですね。
私の故郷の北海道では、みなさんご存知のとおり雪が降ります。雪は、日々の生活においては困りごとも多いのが現実ですが、反面、私たちに幻想的な景色を見せてくれます。
一面真っ白な様子を表す言葉に「銀世界」「白銀」があります。あれ?白一色のはずなのに、どうして「銀」なのでしょうか。それでは今回は「銀(シルバー)」に注目してみようと思います。
白なのに銀?
銀は、一般的には「ぎん」と読みますが、「しろがね」という読み方もあります。つまり、銀=白金のことで、銀色とは「銀色のように光る白色」を意味します。「白金のように光る白色」と言い換えると、一面の雪景色を「銀世界」と呼ぶのも納得ですよね。
厳しい冬を迎え、ただでさえ風邪やインフルエンザも流行る時期ですが、リアルな銀世界はもちろん、オンラインで銀世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。私のオススメは、北海道を代表する山の一つ、羊蹄山。冬晴れの澄んだ空気につつまれた羊蹄山は、遠くから見るだけで圧巻ですよ。
高齢者はどうしてシルバー?
銀=シルバーですが、日本では高齢者を表す言葉としても使われますよね。シルバー料金、シルバー割引、シルバー人材センター、シルバーウイーク等々。高齢者の白髪のイメージ?かなと思いきや、別な理由があるのです。
そもそも英語のシルバーに「高齢者」という意味はありません。実は高齢者を意味する「シルバー」は和製英語なのです。シルバーという言葉は、もともとは電車内の高齢者用の席に名付けられた「シルバーシート」が始まりだと言われています。
遡ること約50年、JRがまだ国鉄だった時代。1973年9月15日の敬老の日に、都内を走る中央線の電車内に高齢者の優先席を設けることになりました。普通席と区別しやすいように違う色のシートにしようと考えられたのですが、設置日までに色を検討する時間的余裕がありませんでした。
そんな時、偶然にも国鉄の向上に在庫として余っていた新幹線用の座席カバーに白羽の矢が立ち、シートに採用されることになりました。その座席カバーの色がシルバーだったのです。
こうして優先席の名称が「シルバーシート」と命名され、偶然が偶然を呼び、意図せず高齢者=シルバーという意味が広がっていったのです。
金と銀は同じ?
銀とよく比較対象になる金ですが、金色を作るのに銀色が必要になることをご存じでしょうか?紙に銀色のアルミ箔を貼り付けて銀色の色紙をつくり、その上にオレンジ色のインクを刷り重ねることで金色を作り出す、という特殊な方法が用いられています。
市販の銀色の折り紙にオレンジ色のマジックを塗ってみると、金色の折り紙になりますよ。家の中でできる遊びとして、冬休みの間に、お子さんと金色をつくってみてはいかがでしょうか。
いぶし銀って?
白や黒と同様、色味のない無彩色に属するため、基本的にどんな色とも協調しやすく、スマートで洗練されたイメージをつくりやすい色です。金属的な質感から、ひんやりとした冷たい印象も連想させますが、銀イオン=抗菌作用があるせいか、清潔感も強いイメージとして挙げられます。
静かな美しさと主張しすぎないスマートな存在感を放つのが、シルバーの魅力の1つです。そんな銀色ですが、日本には「いぶし銀」という言葉があります。
いぶし銀は、くすんで渋みのある銀色のことで、一見地味ではありますが、実際には実力や魅力がある様、主役ではなくとも本当の実力や評価が高い人のことを指す言葉です。そもそも主張しすぎない銀をさらにくすませ、「いぶし銀」という言葉を生み出す日本人は、本当に感性の鋭い人種であるとしみじみ感じます。
意外とハードルが低い?アクセサリーとしての銀
「シルバー」といえば、まず初めにアクセサリーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。銀色は、金色と同様に、高級感を与えるイメージを持っている色です。
銀の輝きはシックで理知的、穏やかながら芯が強く、都会的な色です。シルバーアクセサリーは、男性・女性にかかわらず、おしゃれ度をアップさせることのできるアイテムですよね。
パーソナルカラー診断でいうと、サマータイプ、ウィンタータイプのブルーベースの人をより一層輝かせる色です。また、デザインによってはメンズライクなものも多数あり、おしゃれの幅も広がります。
特にリングはデザインによって色んな表情を見せてくれますし、安価なものから高価なものまで価格も幅広く、取り入れやすいアイテムです。
最後に
さて、これから始まる2023年、みなさんはどんな年にしたいですか?金のような華やかさを求める1年?それともいぶし銀のような水面下で実力をつける1年でしょうか。
日々を一生懸命に過ごしていれば、どうしても色んな壁にぶつかります。悩んだり迷ったり、前に進んだかと思えば後ろに下がっていたり・・・。でもそれは、一生懸命に生きている証拠です。
自分自身を大切に、周りの人への感謝の気持ちを忘れずに、一日一日を大切に過ごしましょう!さぁ、楽しみな1年の幕開けです!
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カラーアドバイザー えりか